伸縮門扉を長持ちさせる使い方と壊れたときの対処法

伸縮門扉は、駐車場の入り口に設置されることが多く、狭いスペースでも開閉が簡単にできる便利な設備です。しかし、日々の使用やメンテナンス不足によって不具合が生じることもあります。このコラムでは、伸縮門扉を安全かつ長く使うための注意点と、壊れた際の適対処方法について解説します。

1. 伸縮門扉を長持ちさせる使い方

伸縮門扉は、日常的な使い方や環境に注意することで、長期間にわたり良好な状態を保つことが可能です。以下のポイントを押さえることで、門扉の寿命を延ばしましょう。

(1) 定期的な清掃を怠らない

伸縮門扉のキャスターが走行する部分はきれいな状態を保ちましょう。走行部が砂利やゴミなどで凹凸が生じていると、スムーズな開閉が阻害され、部品に負担がかかります。定期的に走行部の清掃を行い、異物を取り除くことが重要です。

(2) 優しく操作する

門扉が途中で引っかかったり、動きが悪くなった場合、無理に力を入れて開閉しないようにしましょう。無理な力を加えると、関節部分やレールが曲がったり、破損する恐れがあります。

(3) ロックをきちんとかける

強風時や悪天候の日には、伸縮門扉が勝手に動くことがあり、事故や破損の原因となります。伸縮門扉を開けたままにせず必ず閉めてから、風などで勝手に動かないように「落とし棒」をしましょう。

落とし棒受けの中も定期的に掃除

落とし棒が入る穴(落とし棒受け)には、砂などが入りやすく、溜まっていくと落とし棒の“かかり”が浅くなってしまいます。そのような状態だと、強い風が吹いたときにロックが外れてしまい、伸縮門扉の破損につながってしまいます。
定期的に落とし棒受けの中も、清掃するようにして、落とし棒によるロックが正常に作用するようにしましょう。

落とし棒受けのイメージ

2. 伸縮門扉が壊れる原因

伸縮門扉が正常に動かなくなる原因はさまざまですが、ここでは特に多い事例の紹介します。

(1) 強風をうけて伸縮門扉が転倒

前述した「落とし棒」によるロックをし忘れて、又はしていても、強風が吹いたことをきっかけに、伸縮門扉が転倒するケースがあります。伸縮門扉は多くの細かなパーツによって連動して動くことから、なにかひとつの部品が曲がっただけでも、開閉に支障をきたします。

(2) 車の衝突によって損傷

自分が運転する車をぶつけてしまったり、他者が運転する車にぶつけられてしまって、部品や柱などが曲がったことにより正常に開け閉めができなくなるケースがあります。

(3) 部品の劣化や老朽化

伸縮門扉はそのほとんどがアルミなどの金属で構成されていますが、連結部分などの部品にはプラスチック製のものが使われています。紫外線などの影響をうけてそれらのプラスチック部品が劣化および破損することで、動作に支障をきたす事例です。

3. 壊れた場合の対処法

結論から申し上げると、壊れた伸縮門扉を直す場合には、新しい伸縮門扉への交換工事が必要となる可能性が極めて高いです。

伸縮門扉の動作する部分(パンタグラフ機構)は、ねじ留めではなく「リベット留め(ドライバーなどで付け外しのできない接合方法)」となっているものが殆どで、部分的パーツの修理や交換ができない可能性が極めて高いです。また、伸縮門扉を製造するメーカーも、パンタグラフを構成する細かなパーツを、修理・メンテナンス用に供給は行っておりません。

パンタグラフ機構について

伸縮門扉の開閉の仕組みは、パンタグラフ機構の伸び縮みによって行われます。
マジックハンドをイメージすると想像しやすいかと思いますが、ひし形に組まれた棒材が、連動して前に出たり後ろに戻ったりしており、部品のひとつでも損傷すると正常に動かなくなります。

パンタグラフ機構のイメージ

以上のことから、伸縮門扉が壊れた場合には、門扉本体部分(パンタグラフ機構を備えた門扉部分)を新しいものに交換するか、柱を含めて伸縮門扉全体の交換工事が、必要となるケースが多いです。

稀に簡易的な修理で直ることもありますが、それにも壊れた原因を正確に把握することが重要となりますので、まずは専門の業者に相談してみましょう。

4. 工事費用の目安

伸縮門扉の交換工事にどのくらいの費用がかかるか、目安としてご参考ください。
※片開き、幅3.0m程度の伸縮門扉の交換をする場合の金額

門扉本体部分だけを交換する場合

材料費として門扉1セット110,000円程度、工賃として25,000円程度の費用がかかります。

伸縮門扉全体を交換する場合

材料費として門扉1セット120,000円程度、工賃として55,000~65,000円程度の費用がかかります。

5. 保険の適用

強風や車両事故などによる伸縮門扉の損傷であれば、火災保険などの損害保険を使用して、交換ができる場合もあります。
保険会社へ連絡して、壊れた経緯や損傷状況を伝えたうえで、補償対象になるか確認をしましょう。

伸縮門扉は便利で使い勝手の良い設備ですが、適切なメンテナンスと正しい使い方が重要です。壊れてしまうと、簡単には修理できず、また使えるようにするには大掛かりな工事が必要となる場合もあります。正しい使い方とメンテナンスで、伸縮門扉を長く快適に使用できるよう心がけてください。

なにか、伸縮門扉に関するお困りごとをお持ちの方は、弊社にご相談ください。